【2025年10月施行】経営管理ビザ改正ガイド|資本金3,000万円時代の要件と対策

2026年3月31日 (更新: 2026年10月11日) | 今村 文宣(行政書士)

【2025年10月施行】経営管理ビザ改正ガイド|資本金3,000万円時代の要件と対策

2025年10月16日、在留資格「経営・管理」の許可基準を定める省令が改正・施行されました。資本金要件が500万円から3,000万円へ引き上げられ、常勤職員の雇用義務化、日本語能力要件の新設など、日本で起業・経営を目指す外国人の方にとって極めて大きな影響がある改正です。

1. 改正の概要

今回の改正は、在留資格「経営・管理」の許可基準を厳格化するものです。

改正前は、資本金500万円以上、常勤職員2名以上の雇用、またはこれらに準ずる規模のいずれかで、事業規模の基準を満たすことができました。改正後は、資本金等・常勤職員・日本語能力・経歴・事業計画の各面で、新たな基準への適合が求められます。

施行日: 令和7年(2025年)10月16日

根拠: 出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「上陸基準省令」)および入管法施行規則の改正

参照: 出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」

2. 改正5要件の詳細

要件1:資本金|500万円 → 3,000万円

最も注目される変更点です。従来は資本金500万円以上であれば足りましたが、改正後は3,000万円以上が必要となります。

法人の場合は、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)または合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額で判断されます。

個人事業主の場合は、資本金を用意するのではなく、事業所の確保、雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資の経費など、事業を営むために投下されている総額で判断されます。

なお、資本金の出所(形成過程)について説明を求められる場合があるため、説明資料を準備しておくことをお勧めします。

要件2:常勤職員の雇用|択一制から併用制へ

改正前は「常勤職員2名以上の雇用」「資本金500万円以上」またはこれらに準ずる規模の、いずれかを満たせば足りました。

改正後は、資本金3,000万円以上に加えて、常勤職員1名以上の雇用が必須となります。雇用する常勤職員は日本人、特別永住者、または入管法別表第二の在留資格を持つ者(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)に限られ、「技術・人文知識・国際業務」など別表第一の在留資格で在留する外国人は数えられません。これにより、従来のように資本金のみで要件を充足することはできなくなりました。

要件3:日本語能力|新設

改正前には日本語能力に関する要件はありませんでしたが、改正後は「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力が求められます。

ただし、この要件は申請者本人または常勤職員のいずれかが満たしていれば足ります。なお、ここでいう「常勤職員」には、要件2の雇用要件とは異なり、別表第一の在留資格を持つ者も含まれます。

日本語能力の証明方法

日本人・特別永住者以外の方については、以下のいずれかに該当することが確認されます。

  • 日本語能力試験(JLPT)N2以上の合格
  • BJTビジネス日本語能力テスト 400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等の高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し、かつ高等学校を卒業していること

申請者本人が日本語に不安がある場合でも、日本語能力を備えた常勤職員を雇用することで対応できます。

要件4:経歴|厳格化

改正前は、事業の管理に従事する場合のみ3年以上の経歴が求められていました。

改正後は、以下のいずれかが必要です。

  • 経営管理または申請に係る事業の業務に必要な技術・知識に係る分野に関する博士・修士・専門職の学位を有すること(外国で授与されたこれに相当する学位を含みます)
  • 経営または管理に3年以上従事した職歴を有すること

該当する学位が無い場合は、3年以上の経営・管理経験を証明する必要があります。なお、在留資格「特定活動」に基づく起業準備活動の期間もこの職歴に算入されます。職歴証明書や在籍証明書の準備が重要となります。

要件5:事業計画書|専門家の確認が必須に

改正後は、在留資格決定時に提出する事業計画書について、経営に関する専門的な知識を有する者の確認が義務付けられました(上場企業相当規模の場合等を除きます)。施行日時点で確認を行う専門家は以下のいずれかです。

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士

専門家は、事業計画に具体性・合理性が認められ、かつ実現可能なものであるかを評価します。専門家への依頼費用と時間も考慮に入れて準備を進める必要があります。

3. 改正前後の比較表

項目改正前改正後
資本金500万円以上3,000万円以上
常勤職員2名以上の雇用・資本金500万円以上などのいずれか1名以上必須(資本金と両方必要)
日本語能力要件なしB2相当以上(申請者 or 常勤職員)
経歴管理従事者のみ3年以上博士・修士・専門職学位 or 経営管理3年以上の職歴
事業計画書専門家の確認は不要専門家(中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認必須

4. 経過措置|既存保有者への配慮

改正にあたり、すでに「経営・管理」の在留資格を保有している方に対しては、3年間の経過措置が設けられています。「経営・管理」の活動を前提とする「高度専門職1号ハ」の方も同じ扱いです。

経過措置の期間

施行日(2025年10月16日)から令和10年(2028年)10月16日までの3年間

経過措置期間中の取扱い

この期間中に在留期間更新許可申請を行う場合は、改正後の基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえて許否が判断されます。新たな基準を満たさないことのみをもって更新が不許可になることはありません。なお、審査において、経営に関する専門家の評価を受けた文書の提出を求められることがあります。

経過措置終了後

3年の経過措置期間が終了した後の在留期間更新許可申請では、改正後の基準への適合が必要となります。ただし、改正後の基準に適合しない場合であっても、以下のいずれにも当たるときは、その他の在留状況を総合的に考慮して許否が判断されます。

  • 経営状況が良好であること
  • 法人税等の納付義務を適切に履行していること
  • 次回更新申請時までに改正後の基準を満たす見込みがあること

いずれにしても、経過措置期間中に可能な限り改正後基準への適合を進めておくことが重要です。

5. 審査での取扱い|見落としやすいポイント

上記5要件の改正に加え、出入国在留管理庁は審査での取扱いも示しています。以下の点にご注意ください。

事業所|自宅兼用が原則不可に

出入国在留管理庁は「改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要がある」として、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないとしています。

事業所の広さについて一律の基準は示されておらず、改正後の規模等に応じた経営活動を行うために必要かつ十分な広さの事業所を確保する必要があるとされています。

業務委託により活動実態が認められない場合

業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められないものとして取り扱われます。経営者としての実質的な関与が求められます。

正当な理由のない長期出国

在留期間中、正当な理由なく長期間の出国を行っていた場合は、本邦における活動実態がないものとして、在留期間の更新許可は認められないとされています。

公租公課の履行確認

在留期間更新時には、労働保険・社会保険の適用状況と、国税・地方税の納付状況が確認されます。

必要な許認可の取得状況

事業に必要な許認可(飲食店営業許可、古物商許可など)の取得状況を証する資料の提出が求められます。

永住許可・高度専門職への影響

施行日後、改正後の基準に適合していない場合は、「経営・管理」「高度専門職1号ハ」「高度専門職2号」(「経営・管理」活動を前提とするもの)からの永住許可と、「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への在留資格変更許可は認められないとされています。将来の計画にも影響するため、早めの対応をお勧めします。

6. 新規申請者・既存保有者それぞれの対策

これから経営管理ビザを申請する方

2025年10月16日以降に新規で申請する方には、改正後の許可基準が適用されます。

  1. 資金計画の見直し: 資本金3,000万円以上の資金を確保し、その出所を明確にする書類を準備してください
  2. 常勤職員の確保: 日本人、特別永住者または別表第二の在留資格を持つ常勤職員を1名以上雇用する体制を整えてください
  3. 日本語能力の準備: ご自身でJLPT N2以上を取得するか、日本語能力を有する常勤職員を確保してください
  4. 経歴の整理: 博士・修士・専門職学位の証明書、または3年以上の経営管理経験の証明書を準備してください
  5. 事業計画書の専門家確認: 中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかに事業計画書の確認を依頼してください
  6. 独立した事業所の確保: 自宅兼用ではない、独立した事業所を確保してください

スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業。経済産業大臣の認定を受けた地方公共団体・民間事業者が確認証明書を交付)で起業の準備をしてから「経営・管理」に変更する場合、確認証明書の交付が2025年10月16日以降であれば、変更の際に改正後の基準(資本金等3,000万円など)が適用されます。

すでに経営管理ビザを保有している方

経過措置期間(2028年10月16日まで)を最大限活用し、段階的に改正後基準への適合を進めることをお勧めします。

  1. 現状の把握: 現在の資本金額・常勤職員数・日本語能力・事業計画の状況を確認してください
  2. 増資の検討: 資本金が3,000万円に満たない場合は、段階的な増資を計画してください
  3. 日本語能力の取得: 経過措置期間中にJLPT N2以上の取得を目指してください
  4. 公租公課の完納: 税金・保険料の未納がないか確認し、完納の状態を維持してください
  5. 事業計画の再整備: 専門家による確認済みの事業計画書を準備してください

経過措置の終了後も、前述の3つの条件を満たせば総合的に考慮して判断するとされていますが、基本的には改正後基準を満たすことを前提に準備を進めてください。

7. 当事務所のサポート

AEGIS国際行政書士事務所では、今回の改正に対応した経営管理ビザの申請サポートを行っております。

当事務所は申請取次行政書士として、以下のサポートを提供しています。

  • 改正後基準への適合診断: 現在の状況をヒアリングし、改正後の要件を満たしているか確認いたします
  • 申請書類一式の作成・提出: 申請書類を作成し、申請取次行政書士として出入国在留管理庁へ提出いたします
  • 事業計画書の作成支援: 中小企業診断士・公認会計士・税理士との連携により、要件を満たす事業計画書の作成をサポートいたします
  • 経過措置期間中のロードマップ策定: 既存保有者の方に対し、改正後基準への段階的な適合計画をご提案いたします
  • 英語対応: 日本語が苦手な外国人の方にも、英語でわかりやすくご説明いたします

経営管理ビザの要件は個別の事情により判断が異なります。ご自身のケースについて不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。

本記事は2026年10月11日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。

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