日本のデジタルノマドビザ|年収1,000万円要件と申請方法
2026年10月5日 (更新: 2026年10月11日) | 今村 文宣(行政書士)
日本のデジタルノマドビザ(在留資格「特定活動」(デジタルノマド)、特定活動告示53号)は、外国の企業・クライアントに対するリモートワークを行いながら、日本に最大6か月滞在できる制度です。2024年(令和6年)に設けられ、年収1,000万円以上で、対象の国・地域の国籍等を有する方が利用できます。
要件と提出書類は出入国在留管理庁の在留資格「特定活動」(デジタルノマド)のページと特定活動告示(平成2年法務省告示第131号)に定められています。
在留資格の全体像については「在留資格の種類一覧」をご覧ください。特定活動の制度全般は「特定活動ビザとは」で解説しています。
制度概要(特定活動告示53号)
デジタルノマドビザは、在留資格「特定活動」の告示53号に定められた類型で、6か月を超えない期間、日本に滞在して国際的なリモートワーク等を行う方が対象です。
認められる活動
告示53号で認められる活動は、次の2つです。
- 外国の団体の業務へのリモートでの従事:外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体との雇用契約に基づいて、日本において情報通信技術を用いて、その団体の外国にある事業所における業務に従事する活動
- 外国にある者への役務提供・販売:外国にある者に対し、情報通信技術を用いて役務を有償で提供し、または物品等を販売等する活動(日本に入国しなければ提供・販売等できないものを除く)
日本の公私の機関(個人を含みます)と雇用契約や請負契約等を結んで行う就労活動は認められません(出入国在留管理庁のデジタルノマド向け在留資格のQ&A(PDF) Q1・Q2、令和6年7月時点)。資格外活動も原則として認められません。
在留カードは交付されない
この在留資格では在留カードは交付されません。デジタルノマドの在留資格で日本に滞在する方は、入管法上の「中長期在留者」に該当しないためです(同 Q&A Q5)。
対象国・地域
対象は、日本が租税条約を締結している国・地域等で、かつ短期滞在の査証免除の対象である国・地域のうち、告示の別表第14に掲げるものの国籍等を有する方です(告示53号ロ)。
対象の国・地域は告示の改正で増減します。正式な一覧は特定活動告示の別表第14(家族は別表第15)で、出入国在留管理庁が対象国・地域一覧(PDF)にまとめています。この一覧には告示の改正が反映されていないことがあります(2026年10月時点で、告示の別表第15にあるモンテネグロが一覧に載っていません)。主な対象は、欧州、北米、オセアニアの国々と、東アジア・東南アジア・中東・中南米の一部の国・地域です。
一覧に無い国・地域の方は、この類型の対象になりません。たとえば中国、インド、フィリピン、ベトナムは、2026年10月時点の一覧に含まれていません。
年収1,000万円要件
申請の時点で、申請人個人の年収が1,000万円以上であることが要件です(告示53号ハ)。配偶者・子には年収の要件はありません。
年収の考え方
出入国在留管理庁の Q&A(令和6年7月時点、Q9)は、年収の要件を次のように説明しています。
- 原則:直近の年収が1,000万円以上であることが必要です。ただし、昇給昇格により申請時点から将来にわたる年収が1,000万円以上となることが見込まれる場合や、新規採用で契約年俸が1,000万円である場合も、要件を満たすものと認められます
- 個人事業主の場合:ビジネス契約や売買契約を結んでいる場合は、契約金額ではなく、必要となる諸経費を差し引いた利益の金額で評価されます
- 複数の収入がある場合:複数企業との契約がある場合など、複数の収入があり、それが安定的な収入と認められる場合に、合算して年収1,000万円以上と評価できれば、要件を満たします
申請方法と必要書類
申請の経路
- 日本以外の国にいる場合:この在留資格には、日本で在留資格認定証明書の交付を代わりに申請する代理人となる方がいないため、滞在地の日本国大使館または領事館で直接査証を申請するよう案内されています(同 Q&A Q11)。査証申請の必要書類は外務省の特定査証:特定活動(デジタルノマド・デジタルノマドの配偶者等)のページに掲載されています
- 日本に滞在している場合:申請人本人が、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請できます。申請取次の届出をした行政書士などが申請人に代わって書類を提出できるのも、申請人が日本に滞在している場合に限られます(在留資格認定証明書交付申請の手続のページ「申請提出者」)。提出書類は次のとおりです
本人の提出書類(在留資格認定証明書交付申請)
出入国在留管理庁のページに掲載されている提出書類は、次のとおりです(2026年10月時点)。
- 在留資格認定証明書交付申請書(「所属機関等作成用1〜3」の提出は不要)
- 写真1葉(指定の規格を満たしたもの)
- 返信用封筒(簡易書留用の郵便切手を貼付したもの)
- 滞在中の活動予定を説明する資料(参考様式あり。申請書に詳細に記載している場合は、別途提出する必要はありません)
- 申請人個人の年収額(1,000万円以上)を証明する資料として、申請人が就労した国等において発行された納税証明書または所得証明書
- 現在の稼働状況を証明する資料(雇用契約書、在職証明書等)
- 民間医療保険の補償内容に係る説明書(参考様式あり)
- 民間医療保険の加入証書および約款の写し
提出書類が外国語で作成されている場合は、日本語の訳文を添付します。審査の過程で、上記以外の資料を求められる場合があります。
保険要件
申請人は、日本での滞在中に死亡し、負傷し、または疾病に罹患した場合における保険に加入していなければなりません(告示53号ニ)。
- 傷害・疾病の治療費用補償額は1,000万円以上が必要です
- 死亡については、遺体輸送費または死亡した場合の保険金支給が補償内容に含まれていることが必要です(補償額の定めはありません)
- 保険期間は、日本での滞在予定期間に応じたものであることが必要です
- クレジットカードに付帯する保険で上記の補償内容を担保できる場合は、その補償内容等を証明する資料を提出します
この要件の趣旨について、出入国在留管理庁は、この在留資格で滞在する方が「中長期在留者」に該当せず、日本の公的医療保険に加入できないことから、不測の事態に対処できるようにするためと説明しています(同 Q&A Q10)。
制限事項(更新不可・6か月上限)
デジタルノマドビザの在留期間は6か月で、更新はできません。日本から出国後6か月が経過すれば、再びこの在留資格で入国できます(同 Q&A Q3)。
6か月ルール
告示53号イは、次のように定めています。
本邦に上陸する年の一月一日から十二月三十一日までのいずれかの日において開始し、又は終了する十二月の期間の全てにおいて、本邦での本号に規定する活動を指定されて滞在する期間が六か月を超えないこと。
出入国在留管理庁のデジタルノマド向け在留資格の概要資料(PDF)は、この要件を「滞在期間が1年のうち6か月を超えないこと」と説明しています。
主な制限事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留期間 | 6か月 |
| 在留期間の更新 | 不可 |
| 再度の利用 | 出国後6か月が経過すれば可能 |
| 在留カード | 交付されない(中長期在留者に該当しない) |
| 資格外活動 | 原則として認められない |
| 日本の公私の機関との契約に基づく就労 | 不可(雇用契約・請負契約等) |
一時出国と再入国
滞在中に、在留期限の満了の日以前に再び入国する意図をもって一時的に出国する場合は、再入国許可またはみなし再入国許可による出国が可能で、在留期限の満了日までに日本に戻れば、在留資格を維持できます(同 Q&A Q6)。日本国内で複数の街を移りながら生活することについて、特別な手続は必要ありません(同 Q4)。
税金について
出入国在留管理庁の Q&A(Q7)は、デジタルノマドが日本国内で行う活動に伴って取得する報酬等について、多くの場合、日本での滞在期間が課税年度または継続する12か月において合計183日以下である等の租税条約上の要件を満たせば、日本において免税となると説明しています。要件は租税条約によって異なるため、詳細は税理士等の専門家にご確認ください。
家族帯同(告示54号)
デジタルノマド本人の扶養を受ける配偶者・子は、告示54号に基づいて「特定活動」の在留資格で帯同できます。
家族帯同の要件
- 対象者: 告示53号の活動を指定されて在留する方の扶養を受ける配偶者または子
- 対象国・地域: 短期滞在の査証免除の対象である国・地域のうち、告示の別表第15に掲げるものの国籍等を有すること。本人の対象国・地域(別表第14)とは範囲が異なります。出入国在留管理庁の対象国・地域一覧に、本人用と並べて掲載されています
- 保険: 本人と同じ保険の要件(治療費用補償額1,000万円以上)を満たすこと
- 年収要件: なし
- 活動内容: 配偶者または子として行う日常的な活動(資格外活動は原則として認められません)
- 在留期間: 6か月以内(更新不可)
家族の提出書類(在留資格認定証明書交付申請)
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真1葉(指定の規格を満たしたもの)
- 返信用封筒
- 滞在中の活動予定を説明する資料
- 配偶者または親との身分関係を証する文書(結婚証明書等)
- 民間医療保険の補償内容に係る説明書
- 民間医療保険の加入証書および約款の写し
- 告示53号の活動を指定されて在留している(または在留しようとしている)方の旅券の写し
本人が加入する民間保険の家族補償による場合は、その保険の補償範囲等が確認できる資料を提出します。
短期滞在との違い
デジタルノマドビザと「短期滞在」は、滞在できる期間と、行うことができる活動が異なります。
| 比較項目 | デジタルノマド(告示53号) | 短期滞在 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 6か月(更新不可) | 90日、30日または15日(在留資格一覧表) |
| 活動 | 外国の団体の業務へのリモートでの従事、外国にある者への役務提供・販売 | 観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡など |
| 年収要件 | 1,000万円以上 | なし |
| 在留カード | 交付されない | 交付されない |
日本の企業等に雇用されて働く場合は、デジタルノマドビザではなく、高度専門職や技術・人文知識・国際業務など、就労のための在留資格を検討することになります。
当事務所のサポート
AEGIS国際行政書士事務所では、申請取次行政書士として、デジタルノマドビザに関する次のサポートを行っております。
- 要件の確認: 国籍等、年収、保険の各要件について、現在の状況を確認いたします
- 提出資料の整理: 年収・稼働状況・保険の補償内容を示す資料について、何を用意するかを整理いたします
- 申請書類の作成・提出代行: 日本に滞在中の方の在留資格認定証明書交付申請について、書類の作成と提出の手続を代行いたします
- 在留資格の検討: ご予定の活動がデジタルノマドビザに当たるか、他の在留資格に当たるかを整理いたします
- 英語対応: 英語でご説明いたします
ご自身の状況が要件に当たるか不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
本記事は2026年10月11日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。