企業内転勤ビザガイド|要件・技人国との違い・必要書類を解説
2026年10月11日 (更新: 2026年10月16日) | 今村 文宣(行政書士)
在留資格「企業内転勤」は、日本に事業所のある機関の外国の事業所の職員が、日本の事業所に期間を定めて転勤し、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)に当たる業務に従事するための在留資格です。上陸許可基準に学歴の要件はなく、転勤の直前に外国の事業所で技人国に当たる業務に継続して1年以上従事していることと、日本人と同等額以上の報酬を受けることが求められます。
在留資格制度の全体像については「在留資格の種類一覧」、就労ビザ全般については「就労ビザガイド」もあわせてご参照ください。
企業内転勤とは
在留資格「企業内転勤」は、本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う、技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動を行うための在留資格です(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)別表第一の二、出入国在留管理庁(以下「入管庁」)「在留資格『企業内転勤』」)。入管庁は、該当例として「外国の事業所からの転勤者」を挙げています。
日本に本社を置く機関に限らず、外国に本拠を置く機関であっても、日本国内に事業所があれば対象となります。
在留期間
在留期間は5年、3年、1年または3月です(入管庁「在留資格一覧表」)。在留を続ける場合は、在留期間の更新を申請します。
2027年4月1日の改正(施行予定)
令和6年法律第60号による改正で、2027年4月1日から、在留資格「企業内転勤」に、外国にある事業所の職員が技能等を修得するために日本の事業所に期間を定めて転勤し、講習を受けて技能等に係る業務に従事する活動が第2号として加わる予定です(改正後の入管法別表第一の二。受け入れる機関は、事業の規模や受入れ体制などが法務省令で定める基準に適合するものに限られます)。本記事で扱うのは、現在の「企業内転勤」の活動(改正後の第1号に当たる活動)です。
家族の帯同
「企業内転勤」で在留する方の扶養を受ける配偶者・子は、「家族滞在」の在留資格で一緒に暮らすことができます。2027年4月1日からは、新しく設けられる「企業内転勤」第2号の方の家族は、「家族滞在」の対象から除かれる予定です(改正後の入管法別表第一の四の表)。家族滞在の要件と手続は「家族滞在ビザガイド」で解説しています。
「転勤」の形
入管庁は、カテゴリー3・4の提出書類として、転勤前の事業所と転勤後の事業所の関係を示す資料を、次の3つの場合に分けて求めています(入管庁「在留資格『企業内転勤』」のページ)。
| 転勤の形 | 関係を示す資料 |
|---|---|
| 同一の法人内の転勤 | 外国法人の支店の登記事項証明書など、その法人が日本に事業所を有することを明らかにする資料 |
| 日本法人への出向 | その日本法人と出向元の外国法人との出資関係を明らかにする資料 |
| 日本に事務所を有する外国法人への出向 | その外国法人が日本に事務所を有することを明らかにする資料と、その外国法人と出向元の法人との資本関係を明らかにする資料 |
対象となる活動
企業内転勤ビザで行える活動は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の項に掲げる活動です。すなわち、自然科学・人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務です。たとえば次のような業務が考えられます。
| 分野 | 業務の例 |
|---|---|
| 技術(理系) | システムエンジニア、プログラマー、機械設計、電気・電子技術者 |
| 人文知識(文系) | 経理・財務、法務、マーケティング、企画 |
| 国際業務 | 通訳・翻訳、語学指導、広報・宣伝、海外取引、デザイン |
対象とならない活動
専門的な技術・知識を必要としない業務は、技人国の活動に当たらないため、企業内転勤ビザでも認められないと考えられます。たとえば次のような業務です。
- 工場での組立・検品・梱包作業
- 倉庫での仕分け作業
- 飲食店での調理・接客
- 小売店でのレジ・品出し
また、技人国の活動からは「経営・管理」の活動が除かれています(入管法別表第一の二の表の技人国の項の括弧書)。日本での主な活動が事業の経営や管理である場合は、「企業内転勤」ではなく「経営・管理」の在留資格の対象となる場合があります。
申請要件
企業内転勤ビザの許可を得るには、在留資格該当性と上陸許可基準適合性を満たす必要があります。
在留資格該当性
別表の定義から、次のすべてに当たることが必要です。
- 日本に本店・支店その他の事業所のある機関であること
- 申請人がその機関の外国にある事業所の職員であること
- 期間を定めて日本の事業所に転勤すること
- 転勤先の事業所で技人国に当たる業務に従事すること
上陸許可基準(基準省令)
出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「基準省令」)は、次の2つの基準の両方を定めています(入管庁「該当する活動・上陸許可基準」)。
基準1: 直前1年以上の業務従事
申請に係る転勤の直前に、外国にある本店・支店その他の事業所において、技人国の項に掲げる業務に従事している場合で、その期間が継続して1年以上あることが必要です。
企業内転勤の在留資格をもって、その機関の日本にある事業所で業務に従事していた期間がある場合は、その期間を合算します。
基準2: 報酬
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要です。
学歴要件は不要
企業内転勤の上陸許可基準には、学歴の要件がありません。技人国の上陸許可基準では、原則として大学卒業等の学歴または一定年数の実務経験が求められますが、企業内転勤ではこれらの代わりに、上の「直前1年以上の業務従事」が求められます。
ただし、日本で従事する業務自体は技人国に当たる業務でなければならないため、業務内容には一定の専門性が求められます。
技人国ビザとの違い
両者の主な違いを整理します。
| 比較項目 | 企業内転勤 | 技人国 |
|---|---|---|
| 対象者 | 外国の事業所から期間を定めて転勤する職員 | 日本の公私の機関と契約を結ぶ者 |
| 学歴・職歴 | 学歴は不要。外国の事業所で直前1年以上の業務従事 | 業務に関連する大学卒業等の学歴または10年以上の実務経験。外国の文化に基盤を有する業務は原則3年以上の実務経験 |
| 活動する場所 | 転勤先の事業所 | 契約を結んだ機関 |
| 在留期間 | 5年、3年、1年、3月 | 5年、3年、1年、3月 |
どちらの在留資格に当たるか
技人国の活動からは、「企業内転勤」の項に掲げる活動が除かれています(入管法別表第一の二の表の技人国の項の括弧書)。そのため、外国の事業所から期間を定めて日本の事業所に転勤して技人国に当たる業務を行う場合は、「企業内転勤」の活動に当たります。日本の機関に転籍して契約を結ぶ場合など、転勤の形によって当たる在留資格が変わるため、転勤の形と雇用契約の内容を確認することをお勧めします。
技人国ビザの詳細については「技術・人文知識・国際業務ビザガイド」をご参照ください。
必要書類
企業内転勤ビザの申請に必要な書類は、所属機関(日本側の受入れ機関)のカテゴリーによって異なります。カテゴリー1・2は、共通の書類とカテゴリーを証明する文書のほかは、その他の資料が原則不要です(入管庁「在留資格『企業内転勤』」のページ)。カテゴリー3・4の提出書類は、2026年4月1日に運用が始まった一覧に変わっています(「企業内転勤」に係る提出書類一覧)。
カテゴリーの区分
| カテゴリー | 該当する機関 |
|---|---|
| カテゴリー1 | 日本の証券取引所に上場している企業、保険業を営む相互会社、日本または外国の国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、日本の国・地方公共団体認可の公益法人、法人税法別表第1に掲げる公共法人、イノベーション創出企業、一定の条件を満たす企業等 |
| カテゴリー2 | 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人、またはカテゴリー2と同様の添付資料での申請を希望し、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関 |
| カテゴリー3 | 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| カテゴリー4 | 上記いずれにも該当しない団体・個人 |
全カテゴリー共通の書類(在留資格認定証明書交付申請)
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 申請書 | 在留資格認定証明書交付申請書 |
| 写真(1葉) | 指定の規格を満たしたもの |
| 返信用封筒 | 定形封筒に宛先を明記し、簡易書留用の郵便切手を貼付 |
| カテゴリーを証明する文書 | 提出可能な書類がない場合はカテゴリー4 |
日本で発行される証明書は、発行日から3か月以内のものを提出します。外国語で作成された書類には、日本語の訳文を添付します(出入国在留管理庁「在留資格「企業内転勤」」のページ)。転勤前の外国の事業所の書類は外国語のことが多いので、早めに翻訳の準備をしておくと安心です。
カテゴリー3・4で追加となる書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 活動の内容等を明らかにする資料 | 法人を異にしない転勤は転勤命令書・辞令等の写し、法人を異にする転勤は労働条件を明示する文書、役員等は役員報酬を定める定款や株主総会議事録の写しなど(活動内容・期間・地位・報酬を含む) |
| 転勤前の事業所と転勤後の事業所の関係を示す資料 | 上の「『転勤』の形」の表のとおり |
| 転勤前に勤務していた事業所の存在を明らかにする資料 | 公的機関が発行した法人登記に関する資料と、納税状況・取引実績・船荷証券・輸出入許可書・広告等の資料 |
| 申請人の経歴を証明する文書 | 関連する業務に従事した機関・内容・期間を明示した履歴書と、過去1年間に従事した業務内容・地位・報酬を明示した、転勤直前に勤務した外国の機関の文書(転勤直前の1年以内に「企業内転勤」で日本に在留していた期間がある場合は、その期間に勤務していた日本の機関を含みます。社会保険加入証明、戸口簿など) |
| 事業内容を明らかにする資料 | 沿革・役員・組織・事業内容等が記載された案内書など |
| 登記事項証明書 | 商業・法人登記 |
| 申請人が活動する事業所の存在を明らかにする資料 | 不動産登記簿、事務所の写真・平面図等 |
| 直近の年度の決算文書の写し | 新規事業の場合は事業計画書 |
カテゴリー4でさらに追加となる書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料 | 源泉徴収の免除を受ける機関は免除証明書等。それ以外は、給与支払事務所等の開設届出書の写しと、直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期の特例を受けている場合はその承認を明らかにする資料) |
カテゴリー1・2に当たらず、前年分の法定調書合計表を提出していない機関(新設法人を含む)は、カテゴリー4に当たります。外国企業が日本に進出した直後(支店設置や子会社設立の直後)は、前年分の合計表が無いためカテゴリー4に当たる場合があり、事業所の存在・事業の実体・資本関係などを書類で示すことになります。
在留期間更新時の書類
更新申請では、全カテゴリー共通で申請書・写真・カテゴリーを証明する文書の提出と、旅券および在留カードの提示が必要です。カテゴリー3・4では、住民税の課税(または非課税)証明書および納税証明書の提出も求められます。
書類で示すこと
要件と提出書類から、申請では次の点を書類で示すことになります。
- 転勤の関係: 転勤前と転勤後の事業所の関係(同一法人・出資関係・資本関係)
- 業務の内容: 技人国に当たる業務であること
- 直前1年の業務従事: 外国の事業所で技人国に当たる業務に継続して1年以上従事していること
- 報酬: 日本人と同等額以上の報酬であること
- 事業所の存在: 転勤前・転勤後の事業所が存在すること
当事務所のサポート
AEGIS国際行政書士事務所では、企業内転勤ビザの申請をサポートしております。
- 在留資格の確認: 転勤の形と業務内容から、「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」のどちらに当たるかを整理いたします
- 申請書類の作成・申請取次: カテゴリーに応じた提出書類を整理し、在留資格認定証明書交付申請・在留期間更新許可申請などの書類を作成して、出入国在留管理庁への申請を取り次ぎます
多国籍企業の駐在員の受入れや、海外子会社からの出向について、お気軽にご相談ください。
本記事は2026年10月16日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。