上陸審査手続ガイド|上陸許可の条件・審査の流れ・上陸拒否事由を解説

2026年10月11日 (更新: 2026年10月11日) | 今村 文宣(行政書士)

上陸審査手続ガイド|上陸許可の条件・審査の流れ・上陸拒否事由を解説

日本に上陸しようとする外国人の方は、空港または港で入国審査官による上陸審査を受け、旅券(パスポート)に上陸許可の証印などを受けなければ、原則として上陸できません(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第9条第7項)。入国審査官は、入管法第7条第1項の上陸のための4つの条件に適合しているかを審査し、適合していると認定したときは上陸許可の証印をしなければなりません(同法第9条第1項)。

上陸審査の前段階にあたる在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility。以下「COE」)の申請手続については、記事をご覧ください。在留資格の全体像については「在留資格の種類一覧」で整理しています。

上陸審査とは

上陸審査とは、日本の出入国港(空港・港)において入国審査官が行う、外国人の方の上陸を許可するか否かを判断する手続です。

入国審査官は、上陸を申請する外国人の方が入管法第7条第1項に定められた4つの上陸のための条件に適合しているかどうかを審査します(入管法第7条第1項)。審査を受ける外国人は、条件に適合していることを自ら立証しなければなりません(同条第2項)。

上陸許可の証印は「しなければならない」

入管法第9条第1項は、入国審査官は、審査の結果、外国人が上陸のための条件に適合していると認定したときは、旅券に上陸許可の証印を「しなければならない」と規定しています。

この点は、在留資格の変更許可や在留期間の更新許可(入管法第20条・第21条)が、「相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」と規定されているのとは異なります。

上陸までの流れの分類

外国人の方が日本に上陸するまでの流れは、大きく以下の5つのパターンに分けられます。

パターン対象者事前手続の例
A査証免除国の方が「短期滞在」で上陸旅券のみで上陸申請
B査証免除国の方が「短期滞在」以外で上陸COE交付申請 → 査証申請 → 上陸申請
C査証免除国以外の方が「短期滞在」で上陸査証申請 → 上陸申請
D査証免除国以外の方が「短期滞在」以外で上陸COE交付申請 → 査証申請 → 上陸申請
E再入国許可を受けている方再入国許可を受けた旅券で上陸申請(査証は不要)

再入国許可を受けている方の審査は、4つの条件のうち第1号(旅券の有効性)と第4号(上陸拒否事由に該当しないこと)に限られます(入管法第7条第1項柱書)。

上陸許可の条件

入管法第7条第1項は、上陸のための4つの条件を定めています。

条件1: 旅券および査証の有効性(第7条第1項第1号)

所持する旅券と、査証を必要とする場合にはその査証が有効であることが必要です。

旅券の「有効性」について:

他人になりすまして発給を受けた旅券や偽変造旅券は、有効な旅券とはいえないと考えられます。

査証の性質:

外務省は、「査証は、『出入国管理及び難民認定法』で定められた上陸のための要件の一つであり、入国を保証するものではありません」と説明しています(外務省「査証(ビザ)」)。査証を所持していても、ほかの条件に適合しなければ上陸は許可されません。

日本は、一定の国・地域について査証免除措置を実施しています。査証免除措置の対象となる方は、「短期滞在」に該当する活動を目的とする場合に査証なしで上陸申請ができます。対象国・地域は随時変わるため、外務省の査証免除国・地域一覧でご確認ください。

条件2: 在留資格該当性等(第7条第1項第2号)

日本で行おうとする活動が虚偽のものでなく、入管法に定める在留資格のいずれかに該当すること、また上陸許可基準の適用がある在留資格についてはその基準に適合することが必要です。

具体的には、以下の3点が審査されます。

  1. 活動の非虚偽性: 申請に係る活動が虚偽のものでないこと
  2. 在留資格該当性: 別表第一の活動または別表第二の身分・地位を有する者としての活動のいずれかに該当すること(「特定活動」は告示で定める活動、「定住者」は告示で定める地位に限られ、「永住者」と「高度専門職2号」は対象外)
  3. 上陸許可基準適合性: 別表第一の二の表・四の表の在留資格については、法務省令(基準省令)で定める基準に適合すること

条件3: 在留期間の適合性(第7条第1項第3号)

申請に係る在留期間が、在留期間を定めた法務省令(入管法施行規則)の規定に適合することが必要です。

条件4: 上陸拒否事由に該当しないこと(第7条第1項第4号)

入管法第5条第1項に定める上陸拒否事由のいずれにも該当しないことが必要です。具体的な内容は、後述の「上陸拒否事由」で解説します。

審査の流れ

上陸審査は、入国審査官の審査から始まり、場合によっては特別審理官の口頭審理、法務大臣への異議申出へと進む、最大三段階の手続です。

ステップ1: 上陸の申請

日本の空港または港に到着した外国人の方は、上陸しようとする出入国港において、入国審査官に対して上陸の申請をします(入管法第6条第2項)。申請には、次の旅券・査証が必要です(同条第1項)。

  • 有効な旅券を所持していること
  • 査証を必要とする場合は、旅券に査証を受けていること(査証免除措置の対象者、再入国許可を受けている方などは不要。同項ただし書)

ステップ2: 個人識別情報の提供

上陸の申請をする外国人の方は、個人識別情報(指紋、写真など)を電磁的方式によって提供しなければなりません(入管法第6条第3項)。

提供しない場合は、口頭審理のため特別審理官に引き渡され(入管法第7条第4項)、口頭審理でも提供しないときは本邦からの退去を命じられます(同法第10条第7項)。

提供が免除される方(入管法第6条第3項ただし書):

  • 特別永住者
  • 16歳に満たない方
  • 「外交」または「公用」の活動を行おうとする方
  • 国の行政機関の長が招へいする方
  • 上の2つに準ずる者として法務省令で定める方

ステップ3: 入国審査官による審査

入国審査官は、上記4つの上陸のための条件への適合性を審査します。適合していると認定したときは、旅券に上陸許可の証印をし、在留資格と在留期間を決定して旅券に明示します(入管法第9条第1項・第3項)。

ステップ4: 在留カードの交付

中長期在留者となる方には、在留カードが交付されます。出入国在留管理庁によれば、次の10空港では、上陸許可の証印とともに在留カードが交付されます(入管庁「出入国港での手続」)。

  • 新千歳空港、仙台空港、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、神戸空港、広島空港、福岡空港、那覇空港

その他の出入国港では、旅券に「在留カードを後日交付する」旨が記載され、市区町村の窓口に住居地の届出をした後に、原則として住居地に郵送で交付されます。

上陸のための条件に適合すると認定されなかった場合

入国審査官が上陸許可の証印などをしない場合、外国人の方は口頭審理のため特別審理官に引き渡されます(入管法第9条第6項・第10条第1項)。この手続は後述の「口頭審理・異議申出」で解説します。

上陸拒否事由

入管法第5条第1項は、本邦に上陸することができない外国人の類型を定めています。

主な類型

上陸拒否事由は、大きく次のように分けられます(入管法第5条第1項)。

1. 保健・衛生上の観点など(第1号〜第3号)

  • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に定める一類感染症・二類感染症などの患者、新感染症の所見がある方(第1号)
  • 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある方などで、補助する者が随伴しない方(第2号)
  • 貧困者、放浪者等で生活上国または地方公共団体の負担となるおそれのある方(第3号)

2. 刑罰法令違反・反社会性(第4号〜第8号)

  • 日本または外国の法令に違反して、1年以上の拘禁刑またはこれに相当する刑に処せられたことのある方(政治犯罪を除く。第4号)
  • 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤または向精神薬の取締りに関する法令に違反して刑に処せられたことのある方(第5号)
  • 国際競技会等に関連する暴力行為等により刑に処せられ、または日本から退去強制されたり外国から退去させられたりしたことがあり、日本で開催される国際競技会等に関連して同様の行為をするおそれのある方(第5号の2)
  • 麻薬・覚醒剤などを不法に所持する方(第6号)
  • 売春に直接に関係がある業務に従事したことのある方(人身取引等の被害者を除く。第7号)
  • 人身取引等を行い、唆し、またはこれを助けた方(第7号の2)
  • 銃砲・クロスボウ・刀剣類・火薬類を不法に所持する方(第8号)

3. 退去強制・出国命令・上陸拒否を受けたことのある方(第9号〜第10号)

  • 退去強制や出国命令を受けた方などで、後述の上陸拒否期間を経過していない方(第9号)
  • 別表第一の在留資格で在留している間に一定の罪で拘禁刑の判決の宣告を受け、出国中に確定した方で、確定の日から5年を経過していない方(第9号の2)
  • 入管法第24条第4号オからヨまで(政府を暴力で破壊することの主張、日本国の利益・公安を害する行為など)に該当して退去強制された方(第10号。期間の定めなし)

4. 日本国の利益または公安を害するおそれのある方(第11号〜第14号)

  • 日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張する方など(第11号〜第13号)
  • 法務大臣において日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある方(第14号)

5. 相互主義に基づく上陸拒否(第5条第2項)

上陸しようとする外国人の国籍・市民権の属する国が、第1項各号以外の事由により日本人の上陸を拒否するときは、法務大臣は、同一の事由によりその外国人の上陸を拒否することができます。

上陸拒否期間(第5条第1項第9号)

退去強制・出国命令などを受けた方の上陸拒否期間は、次のとおりです。

区分上陸拒否期間
第6号(薬物等の不法所持)または第8号(銃砲等の不法所持)に該当して上陸を拒否された方拒否された日から1年
退去強制された方のうち、入管法第52条第5項の決定を受け、定められた日までに退去した方(「短期滞在」の活動を行おうとする方を除く)退去の日から1年
退去強制された方で、それ以前に退去強制・出国命令を受けたことがない方(上の区分を除く)退去の日から5年
上のいずれにも当たらない退去強制された方(2回目以上など)退去の日から10年
出国命令により出国した方(次の区分を除く)出国した日から1年
入管法第24条の3第1号ロに該当し、出国命令により出国した方(「短期滞在」の活動を行おうとする方に限る)出国した日から5年

退去強制の3つの区分(1年・5年・10年)からは、入管法第24条第4号オからヨまで、または第4号の3(「短期滞在」で在留中の国際競技会等に関連する暴力行為等)に該当して退去強制された方を除きます。第4号オからヨまでに該当した方は、第10号により期間の定めなく上陸拒否事由に該当します。

上陸拒否事由に該当する場合の救済

上陸拒否事由に該当する場合でも、次の制度により上陸が認められる場合があります。

  1. 上陸の拒否の特例(入管法第5条の2): 法務大臣は、第5条第1項第4号・第5号・第7号・第9号・第9号の2に該当する特定の事由がある場合でも、再入国許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、その事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができます。
  2. 上陸特別許可(入管法第12条第1項): 法務大臣は、異議の申出が理由がないと認める場合でも、再入国の許可を受けているとき、人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入ったものであるとき、その他特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、上陸を特別に許可することができます。

口頭審理・異議申出

入国審査官の審査で上陸許可の証印などがされなかった場合の手続です。

口頭審理(入管法第10条)

特別審理官は、引渡しを受けたときは、速やかに口頭審理を行わなければなりません(入管法第10条第1項)。

  • 外国人の方またはその方の出頭させる代理人は、口頭審理に当たって、証拠を提出し、証人を尋問することができます(同条第3項)
  • 外国人の方は、特別審理官の許可を受けて、親族または知人の一人を立ち会わせることができます(同条第4項)

口頭審理の結果は、次の2つに分かれます。

結果その後の対応
上陸のための条件に適合すると認定直ちに旅券に上陸許可の証印がされます(入管法第10条第8項)
上陸のための条件に適合しないと認定理由が示され、異議を申し出ることができる旨が知らされます(同条第10項)。認定に服したときは、本邦からの退去を命じられます(同条第11項)

異議の申出(入管法第11条)

特別審理官の認定に異議がある場合、通知を受けた日から3日以内に、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができます(入管法第11条第1項)。

法務大臣の裁決は次のいずれかです。

裁決その後の対応
異議の申出が理由がある主任審査官が直ちに上陸許可の証印をします(入管法第11条第4項)
異議の申出が理由がない本邦からの退去を命じられます(同条第6項)
理由がない場合でも、第12条第1項各号に当たるとき上陸特別許可が認められる場合があります(入管法第12条第1項)

退去命令を受けた場合

退去を命じられた方が、船舶等の運航の都合その他その方の責めに帰することができない事由により直ちに退去できないと認められるときは、指定された期間内に限り、出入国港の近傍にある指定の施設にとどまることが許される場合があります(入管法第13条の2第1項)。

退去命令を受けたこと自体は、入管法第5条第1項の上陸拒否事由には挙げられていません(第6号・第8号に該当して上陸を拒否された方は、第9号イにより拒否された日から1年は上陸拒否事由に該当します)。ただし、次回の上陸審査でも4つの条件への適合性が審査されるため、前回の認定の理由となった点を解消しておくことをお勧めします。

仮上陸許可

主任審査官は、上陸の手続中に特に必要があると認める場合には、手続が完了するまでの間、仮上陸を許可することができます(入管法第13条第1項)。仮上陸許可には、住居・行動範囲の制限や呼出しに対する出頭の義務などの条件が付され、200万円を超えない範囲で保証金の納付が求められることがあります(同条第3項)。

上陸審査に備えるために

在留資格認定証明書の活用

在留資格認定証明書(COE)は、日本で行おうとする活動が入管法第7条第1項第2号の条件(在留資格該当性・上陸許可基準適合性など)に適合していることを、法務大臣が証明するものです(入管法第7条の2第1項)。「高度専門職1号」「特定技能」の活動については、第2号の条件への適合の立証はCOEによらなければなりません(同法第7条第2項)。

実務上の準備のポイント

口頭審理に回された場合に備え、次の準備をお勧めします。

  • COE申請時の提出資料一式のコピーを持って来日する
  • 受入れ機関(雇用先等)の担当者の連絡先(携帯電話番号等)をあらかじめ把握しておく
  • 可能であれば、受入れ機関の担当者に空港まで迎えに来てもらう

当事務所のサポート

AEGIS国際行政書士事務所は、申請取次行政書士として、上陸審査の前段階の手続をサポートしております。

  • 在留資格認定証明書の申請: 日本で行おうとする活動に合う在留資格を確認し、申請書類を作成して、出入国在留管理庁への申請を取り次ぎます(申請人ご本人または受入れ機関の職員などの代理人が日本にいる場合)
  • 在留資格に関するご相談: 上陸拒否事由に当たるおそれがある場合など、申請前の確認についてご相談をお受けします

上陸審査や在留資格に関するご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


本記事の内容は一般的な制度の解説であり、個別の事案に対する法的助言を構成するものではありません。

本記事は2026年10月11日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。

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