永住許可(永住権)の要件ガイド|2026年10月のガイドライン改定と取消事由の追加

2026年10月5日 (更新: 2026年10月16日) | 今村 文宣(行政書士)

永住許可(永住権)の要件ガイド|2026年10月のガイドライン改定と取消事由の追加

永住許可(在留資格「永住者」)は、在留活動・在留期間のいずれにも制限がない、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)上最も安定した在留資格です。許可を受けるには、素行善良要件・独立生計要件・国益要件の3つを満たす必要があります(入管法第22条第2項)。国益要件の判断では、出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」により、原則として引き続き10年以上日本に在留していること(このうち就労資格または居住資格で引き続き5年以上)が考慮されます。

2026年10月1日、出入国在留管理庁は永住許可に関するガイドラインを改定しました。2027年4月1日以降の申請からは、日本人等の配偶者の特例が「婚姻5年以上・在留3年以上」に厳格化され、日本語能力(B1相当)・世帯の年収水準・年金の受給見込額などが審査で考慮されます。2026年10月には永住者の在留資格の取消しに関するガイドラインも策定されました。2024年の法改正で定められた永住者の在留資格の取消事由の追加は2027年4月1日に施行される予定で、このガイドラインも同日から運用されます。

在留資格の全体像については「在留資格の種類一覧」をご覧ください。

2026年10月のガイドライン改定で変わること

改定後のガイドラインは、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。ただし、世帯の年収水準(第2の4(2))と「公共の負担とならないこと」(第2の5(7))の2項目は、2026年4月1日以降に申請し、2026年10月1日時点で審査中の申請にも適用されます(ガイドライン第6)。

項目2027年3月31日までの申請2027年4月1日以降の申請
日本人・永住者・特別永住者の配偶者の特例婚姻3年以上+引き続き1年以上在留婚姻5年以上+引き続き3年以上在留
日本人・永住者・特別永住者の実子等の特例引き続き1年以上在留引き続き3年以上在留
世帯の年収水準上記の申請に適用適用
公共の負担とならないこと上記の申請に適用適用
年金の受給見込額—新たに考慮
日本語能力(B1相当)—新たに考慮
日本の制度・ルールの理解—新たに考慮
学齢期の子の就学—新たに考慮
海外での不在期間—新たに考慮(下記「『引き続き』と海外での不在期間」)
在留期間「3年」の扱い最長の在留期間として扱う経過措置の対象者のみ最長として扱う
「我が国への貢献」別のガイドラインで運用別ガイドラインは廃止し、本ガイドラインに統合

この記事の表の「2027年3月31日までの申請」の列は、改定前のガイドライン(実務書で確認できる2024年6月10日改定版)に基づきます。改定前のガイドラインは2026年10月時点で出入国在留管理庁のサイトでは公開されていないため、2027年3月31日までに申請する方も、現在の取扱いを個別に確認することが重要です。

永住許可の3つの要件

永住許可には、素行善良要件・独立生計要件・国益要件の3つすべてを満たす必要があります(ガイドライン第2)。

ただし、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子は、素行善良要件と独立生計要件への適合が不要です。難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けた方などは、独立生計要件への適合が不要です。国益要件は、すべての申請者に求められます。

なお、入管法第22条第2項には、2027年4月1日に施行される予定の改正法により「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」の文言が加わります。ガイドラインは、これは従来からガイドライン上で考慮されていた内容を法律上の要件として明確にしたものと説明しています。

1. 素行善良要件

法律を守り、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を送っていることをいいます。日常生活や社会生活で違法行為や迷惑行為を繰り返していたと認められる場合は、この要件に適合しないと評価されます。

刑罰を受けた経歴は、改定後のガイドラインでは国益要件の考慮要素として整理されています(下記「刑罰法令違反」)。

2. 独立生計要件

公共の負担となるおそれがなく、将来にわたって安定した生活を営めると見込まれることをいいます。ガイドラインは「日本人と同等水準以上の経済条件が求められます」としており、原則として同一生計の世帯単位で審査されます。

世帯の年収水準

申請時点で、世帯年収が「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」に継続して達しているかが考慮されます。具体的な金額はガイドラインに示されていません(2026年10月時点)。

  • 世帯年収は、申請者と同一生計の世帯員の年収を合算します
  • 成人している子など、父母の扶養から外れている方が申請する場合は、父母の収入を合算しません
  • 「家族滞在」など就労資格でない在留資格の世帯員の収入は合算しません(資格外活動許可による収入は例外的・限定的なものとされているため)
  • 申請者が扶養する親族は、外国に住んでいて同居していない場合でも世帯人数に加えます。世帯人数が5人以上になる場合は、生活費等の増加分が加算されます

年金の受給見込額(2027年4月1日以降の申請)

申請時点の年齢・加入期間・平均年収などから推計した将来の年金の受給見込額が、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その間厚生年金に加入していた場合の受給見込額に達しているかが考慮されます。

受給見込額が届かない場合でも、不足分を補える金融資産があれば、達しているものと評価されます。補える資産の基準額は申請時の年齢に応じて決まり、若い方ほど低く設定されます。配偶者がいる場合は、夫婦の受給見込額を合算して判断します。

3. 国益要件

法務大臣が「その者の永住が日本国の利益に合する」と認めることが必要です。ガイドラインは、単に国益に反しないというだけでなく、積極的かつ具体的に日本に利益をもたらす必要があるとしています。改定後のガイドラインが挙げる主な考慮要素は次のとおりです。

考慮要素内容
入管法上の義務の遵守住居地届出などの各種届出、在留カードの携帯・提示、資格外の活動をしないことなど。過去の違反が判明した場合も原則消極評価
公租公課の支払所得税・住民税などの税金と、公的医療保険・公的年金の保険料。過去に滞納処分を受けた場合なども原則消極評価。世帯単位で審査
刑罰法令違反拘禁刑(懲役・禁錮を含む)や罰金刑を受けた方、少年法による保護処分を受けている方は原則消極評価
上陸拒否事由・上陸許可基準上陸拒否事由に当たる方、現在の在留資格の上陸許可基準等に適合していない方は消極評価
長期間の居住原則として引き続き10年以上在留し、うち就労資格または居住資格で5年以上。現在の在留資格で最長の在留期間を有していること(下記「居住年数」)
公共の負担とならないこと配偶者の特例などで独立生計要件が不要な方でも、世帯が現に公共の負担となっている場合などは消極評価となることがある
日本語能力「日本語教育の参照枠」のB1相当以上(2027年4月1日以降の申請)
日本の制度・ルールの理解出入国在留管理庁長官が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に確認(2027年4月1日以降の申請)
学齢期の子の就学学齢期の子を養育している場合、子が小学校・中学校に通学していること(2027年4月1日以降の申請)
その他の事情「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(2026年1月23日決定)に掲げる施策(特定在留カード等の普及など)への貢献も考慮要素とされている

日本語能力は、高度人材外国人とその家族、日本で初等・中等教育を通算6年以上受けた方、一定の条件を満たす永住者の子など、B1相当を求める必要性・相当性があるとはいえない場合には考慮されません。

居住年数の原則と特例

原則は「引き続き10年以上の在留、うち就労資格または居住資格で5年以上」です。申請者の身分や地位に応じて、次の特例があります(ガイドライン第3)。

対象者2027年3月31日までの申請2027年4月1日以降の申請
原則引き続き10年以上(うち就労・居住資格で5年以上)同じ
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴う婚姻3年以上+引き続き1年以上在留実体を伴う婚姻5年以上+引き続き3年以上在留
上記の実子等引き続き1年以上在留引き続き3年以上在留
定住者「定住者」で5年以上継続して在留同じ
難民・補完的保護対象者認定後5年以上継続して在留同じ
高度専門職ポイント70点以上3年以上継続して在留同じ
高度専門職ポイント80点以上1年以上継続して在留同じ
特別高度人材1年以上継続して在留同じ
「我が国への貢献」が認められる方5年以上在留同じ(ガイドライン第4に統合)

構造改革特区や地域再生計画の区域内で一定の活動を行い、日本への貢献が認められる方には、3年以上の在留で足りる特例もあります。

これらの特例は、在留特別許可を受けた方や、上陸拒否事由に該当して上陸特別許可を受けた方には適用されません。その場合は、許可を受けた後に原則どおり引き続き10年以上の在留が必要です。

就労資格・居住資格の範囲

「うち5年以上」に数える就労資格からは、「技能実習」「育成就労」「特定技能1号」「企業内転勤」と一部の「特定活動」が除かれます(ガイドライン注2)。2027年3月31日までの申請に適用される改定前の基準では、除かれるのは「技能実習」と「特定技能1号」でした。

「特定活動」は指定内容によって扱いが分かれます(ガイドライン第5)。

  • 10年に算入されない例: 継続就職活動、就職内定者、大学等を卒業して起業活動を行う留学生、難民認定等手続中の方、本国の情勢不安を理由に在留が認められている方
  • 就労資格に当たる例: 告示6号(アマチュアスポーツ選手)、8号(国際仲裁代理)、36号(特定研究等活動)、37号(特定情報処理活動)、46号(本邦大学等卒業者)、経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士
  • 就労資格に当たらない例: ワーキングホリデー、インターンシップ、日本の高校を卒業後に就職した方

「引き続き」と海外での不在期間

「引き続き」とは、在留資格が途切れずに続いていることをいいます。再入国許可(入管法第26条。みなし再入国許可は第26条の2)を受けずに出国した場合は、在留資格が失われるため、それ以前の在留は「引き続き」に算入されません。

2027年4月1日以降の申請では、申請時点から過去10年以内に、合理的な理由なく日本を離れた期間が、1回の出国で半年以上ある場合、または通算して2年6か月以上となる場合は、原則として消極評価となります。海外出張や長期の帰国を予定している方は、申請時期との関係を事前に確認しておく必要があります。

最長の在留期間

現在の在留資格について、入管法施行規則に定める最長の在留期間(例: 「技術・人文知識・国際業務」なら「5年」)で在留していることが考慮要素です。在留期間「3年」の扱いは、申請日によって次のように分かれます(ガイドライン注4)。

  • 2027年3月31日までの申請: 在留期間「3年」でも最長の在留期間として扱われます
  • 2027年4月1日以降の申請: 原則として最長の在留期間が必要です。ただし、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有しており、2027年4月1日以降の初回の永住許可申請で、かつその「3年」の在留期限までに処分を受ける場合に限り、「3年」でも最長の在留期間として扱われます

高度専門職ポイント制

高度専門職省令に定めるポイント計算で70点以上を有する方は、居住年数の特例を受けられます。

ポイント必要な在留期間
80点以上1年以上継続して在留
70点以上80点未満3年以上継続して在留
特別高度人材の基準に該当1年以上継続して在留

高度人材外国人とその家族は、2027年4月1日以降の申請で新たに考慮される日本語能力(B1相当)の対象外とされています。

ポイント計算の時点

ポイントの充足は、次のいずれかの方法で評価されます。

  • 方法A: 「高度人材外国人」として必要な点数を維持し、所定期間以上継続して在留していること
  • 方法B: 所定期間以上継続して在留しており、永住許可申請日から所定年数前の時点を基準にポイント計算を行った場合に所定点数以上を有していたことが認められ、その点数を維持して在留していること

方法Bにより、現在「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格を有している方でも、過去にさかのぼってポイント基準を満たしていたことを立証できれば、「高度専門職」の在留資格を経由せずに永住許可を申請できます。特別高度人材についても、申請日から1年前の時点で基準に該当していたことが認められれば対象になります。

ポイント計算の主な評価項目

ポイントは「高度専門職1号イ」(学術研究活動)、「高度専門職1号ロ」(専門・技術活動)、「高度専門職1号ハ」(経営・管理活動)の3類型ごとに異なる計算表が用いられます。共通する主な評価項目は次のとおりです。

  • 学歴(博士号、修士号、複数の学位等)
  • 職歴(実務経験年数)
  • 年収(類型によって配点が異なる)
  • 年齢(若いほど加点される項目あり)
  • 日本語能力(日本語能力試験(JLPT)のN1・N2等)
  • 特定の大学の卒業(法務大臣が告示で定める大学の卒業者に加点)
  • その他(研究実績、資格、特別加算等)

ポイント計算表の詳細は出入国在留管理庁「ポイント計算表」をご確認ください。

注意点

「経営・管理」の在留資格を持つ方がポイントを稼ぐために年収を不自然に高く設定することは避けるべきです。会社の売上や財務状況に比して過大な役員報酬は、事業の継続性や「経営・管理」の在留資格該当性そのものに疑義を生じさせるおそれがあります。

必要書類

提出書類は、申請者の在留資格や身分関係によって5つの区分に分かれています(出入国在留管理庁「永住許可申請」)。

区分対象
永住許可申請1日本人・永住者・特別永住者の配偶者またはその実子等
永住許可申請2「定住者」の方
永住許可申請3就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」「技能」など)・「家族滞在」の方
永住許可申請4「高度人材外国人」として申請する方
永住許可申請5「特別高度人材」として申請する方

2026年10月時点の「永住許可申請3」では、主に次の書類を求めています。

  • 永住許可申請書、写真、理由書
  • 世帯全員の住民票
  • 職業を証明する資料(在職証明書、確定申告書控えの写しなど)
  • 直近5年分の住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書と、住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(特別徴収でない期間がある場合)
  • 国税(5税目)の納税証明書(その3)
  • 直近2年間の公的年金・公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
  • 身元保証書などの書類

出入国在留管理庁は、申請前に要件への該当性を確認するためのセルフチェックシートと、在留資格ごとの提出書類チェックシートを公開しています。セルフチェックシートは、申請書類とあわせて提出するよう求めています。提出書類が揃っていない申請は、審査が大幅に遅れたり、不利益な処分となったりする可能性があるとされています。

2027年4月1日以降の申請では、日本語能力や制度・ルールの理解の確認など、新たな考慮要素に対応する書類や手続が加わる可能性があります。申請前に必ず最新の提出書類一覧をご確認ください。

手数料

永住許可の手数料は許可されるときに収入印紙で納付します。手数料は2026年10月1日に改定され、大幅に引き上げられました。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額で納付します。最新の金額と減額の対象者は出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」でご確認ください。改定の内容は「在留手続の手数料改定(2026年10月)」で解説しています。

審査期間

永住許可申請の標準処理期間は4か月〜6か月とされています(出入国在留管理庁「永住許可申請」、2026年10月時点)。

審査期間中も現在の在留資格は維持する必要があります。永住許可申請中に在留期間が満了する場合は、別途、在留期間更新許可申請を行わなければなりません。追加書類の提出を求められた場合は、さらに期間が延びることがあります。

永住者の在留資格の取消事由の追加(2027年4月1日施行予定)

永住者の在留資格は、これまでも、偽りその他不正の手段で永住許可を受けた場合や、住居地の届出をしなかった場合などに取り消されることがありました。2024年の入管法改正(令和6年法律第60号)により、取消事由がさらに追加されます(改正後の入管法第22条の4第1項第8号・第9号)。この部分は2027年4月1日に施行される予定で(出入国在留管理庁の改正法の案内)、2026年10月時点ではまだ適用されていません。

出入国在留管理庁は、2026年10月に取消事由の考え方と想定される事例をまとめたガイドラインを策定しました(ガイドラインの本文)。ガイドラインの運用は、改正法の施行と同じ2027年4月1日から始まります。以下は、このガイドラインに沿って整理したものです。

追加される3つの取消事由

1. 入管法上の義務を守らないこと(第8号)

罰則で担保され、退去強制事由に当たらない入管法上の義務が対象です。ガイドラインは次の例を挙げています。

  • 在留カードの有効期間の更新や、紛失時の再交付の申請をしない
  • 在留カードを携帯しない、提示を求められて拒否する
  • 在留カードの偽変造、偽変造カードの行使などを試みて未遂に終わった
  • 不法入国者等をかくまうなどして逃走を助けようとして未遂に終わった

過失による違反も取消事由に当たりますが、在留カードの更新を一度忘れた、うっかり携帯しなかったといった一度の不履行だけで取り消すことは想定していないとされています。病気や災害など正当な理由がある場合は該当しません。

2. 故意に公租公課を支払わないこと(第8号)

税金や公的医療保険・公的年金の保険料を、支払義務を認識しながらあえて支払わず、支払う意思がないことが明白な場合が対象です。申告が必要なことが明らかなのに申告せず、本来払うべき公租公課を払わない場合も含まれます。

該当すると想定される例該当しないと想定される例
長期間滞納し、届出なく転居して所在不明になっている病気・災害・失業などやむを得ない事情で支払えない
繰り返しの催告や滞納処分を受けても納付の意思を示さない催告に応じて支払う意思を示し、分納や猶予を受けている
分納や猶予の約束を守らないことを繰り返す生活保護に準じた措置を受けている
脱税等で有罪判決を受けた給与から天引きされているのに勤務先が納めていない
滞納処分を免れるために財産を隠す

法人の代表者など経営に実質的な影響力を持つ永住者が、法人の公租公課について同様の行為をした場合も対象になり得ます。滞納額について一律の基準は設けず、個別の事情を総合的に考慮して判断するとされています。なお、手数料や交通違反の罰金・反則金は公租公課に含まれません。

改正法の施行前のことも考慮されます。永住許可を受けた後、施行前に故意に支払わなかったことが施行後に分かった場合も、第8号に当たるとされています。ただし、施行前の一時点の事情だけで直ちに取り消すのではなく、その後の支払状況も含めて判断されます。

3. 特定の罪で拘禁刑に処せられたこと(第9号)

窃盗、詐欺、恐喝、傷害、住居侵入、文書偽造、危険運転致死傷など、第9号に列挙された故意犯で拘禁刑に処せられた場合が対象です。刑期の長短を問わず、執行猶予が付いた場合も含まれます。

取消事由に該当した場合の扱い

取消事由に該当しても、直ちに在留資格を取り消して出国させるのではなく、引き続き在留することが適当でないと認められる場合を除き、法務大臣の職権で他の在留資格に変更されます(改正後の入管法第22条の6)。ガイドラインは、ほとんどの場合は「定住者」への変更を想定しているとしています。変更後に永住許可の要件を満たせば、再び永住許可を受けることもできます。

取消し(在留を認めない)が相当とされるのは、たとえば次のような場合です。

  • 繰り返し指導を受けても在留カードの携帯や更新をせず、今後も義務を果たす意思がないと認められる場合
  • 今後も公租公課を支払う意思がないことが明らかな場合、滞納の額・期間・回数が社会通念上見過ごせない場合、脱税等で有罪となった場合
  • 永住許可後(改正法の施行前を含む)に拘禁刑の前科(第9号の罪に限らない)があり、さらに第9号の罪で拘禁刑に処せられた場合

第9号の罪で拘禁刑に処せられた場合は、初犯で執行猶予が付いても、職権変更とすることが想定されています。家族関係や人道上の配慮が特に必要な場合は、取消しではなく職権変更とすることもあり得ます。職権変更の後は、変更後の在留資格の在留期間更新などの手続で、義務の遵守や公租公課の支払状況が引き続き確認されます。

国・自治体職員による通報

国や地方公共団体の職員は、職務の中で取消事由に該当すると思われる外国人を知った場合、出入国在留管理庁に通報することができます(改正後の入管法第62条の2)。通報は義務ではなく、通報があったことだけで取消事由に該当すると判断されるわけではありません。

既に永住許可を受けている方は、運用開始後も在留カードの更新・携帯、納税、年金・健康保険の保険料の納付を適正に続けることが大切です。制度の概要は出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」もあわせてご確認ください。

不許可の主な原因と対策

永住許可が不許可となる主な原因と、その対策を整理します。

主な原因

1. 公的義務の不履行

住民税、国民年金保険料、国民健康保険料の未納・遅納は、国益要件(公租公課の支払)で消極評価の対象となります。給与から天引き(特別徴収)されている期間は問題になりにくいものの、転職時の空白期間や自営業の期間に国民年金・国民健康保険の未納や納付の遅れが生じていることがあります。改定後のガイドラインは、過去に滞納処分を受けた場合なども原則として消極評価とすると明記しています。

対策: 申請前に、提出書類で求められる期間(住民税は直近5年、年金・医療保険は直近2年)の納付状況を点検してください。未納がある場合は完納したうえで、適正な納付の実績を積んでから申請することが基本的な対応になります。

2. 在留年数の不足・中断

10年の継続在留を満たしていない場合や、途中で在留資格が途切れている場合は、居住年数の考慮要素を満たさないと評価されます。

対策: パスポートの出入国記録や在留カードの履歴を確認し、在留が途切れていないか、就労・居住資格での在留が5年以上あるかを点検してください。2027年4月1日以降に申請する方は、過去10年の海外での不在期間(1回半年以上・通算2年6か月以上)にも注意が必要です。

3. 収入・申告内容の不整合

過去の在留期間更新などで提出した収入額と、永住申請時の課税証明書の金額が大きく異なる場合は、申告内容の信用性が問われることがあります。

対策: 過去の申請内容と矛盾のない正確な情報を提出してください。

4. 交通違反・前科前歴

罰金刑を受けた経歴は、原則として消極評価の対象です。軽微な交通違反であっても、違反の回数や時期によっては不利に評価されることがあります。

対策: 違反がある場合は一定期間を置いてから申請することが望ましいです。再発防止の取組みを補足資料として提出することも検討してください。

5. 世帯の収入が年収水準に届かない

改定後のガイドラインでは、世帯人数に応じた年収水準に継続して達しているかが考慮されます。「家族滞在」の配偶者のアルバイト収入は世帯年収に合算されず、国外の扶養親族も世帯人数に数えられます。

対策: 申請を検討する方は、扶養している親族の人数も含めて世帯の収入を整理したうえで申請時期を判断してください。2027年4月1日以降の申請に加え、2026年4月1日以降に申請して2026年10月1日時点で審査中の方にも、この考慮要素が適用されます。

不許可となった場合

永住許可申請が不許可となっても、原則として現在の在留資格には影響しません。不許可の理由を確認し、原因を解消したうえで再申請することが可能です。

当事務所のサポート

永住許可申請は、入管法上最も安定した在留資格の取得であるため、審査も慎重に行われます。2026年10月のガイドライン改定で考慮要素が増え、申請日によって適用される基準も異なります。

当事務所では、申請取次行政書士が次のサポートを承っております。

  • 要件の確認: 在留歴・納税・年金・世帯の収入などが、申請日に適用される基準を満たすかを整理いたします
  • 申請時期の検討: 2027年3月31日までに申請するか、それ以降に申請するかで変わる要件(配偶者の特例・在留期間「3年」の扱いなど)を踏まえて、申請時期をご提案いたします
  • 申請書類一式の作成・提出代行: 理由書を含む申請書類を作成し、出入国在留管理庁への申請の取次ぎをいたします
  • 高度専門職ポイントの計算: ポイント制による早期申請が可能かを確認いたします
  • 不許可後の再申請: 不許可の理由を分析し、再申請に向けた対応を整理いたします
  • 永住者の方の取消し制度への備え: 在留カードの更新や公租公課の支払状況について、取消事由に当たるおそれがないかを確認いたします

まずはお気軽にご相談ください。


個別の事案については当事務所までお問い合わせください。

本記事は2026年10月16日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。

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