外国人の方が日本で会社を設立する流れ|経営管理ビザの申請との順番と注意点

2026年10月11日 (更新: 2026年10月11日) | 今村 文宣(行政書士)

外国人の方が日本で会社を設立する流れ|経営管理ビザの申請との順番と注意点

在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」などを持たない外国人の方が日本で会社を設立して経営するには、会社の設立と並行して、在留資格「経営・管理」の許可を受ける必要があります。

「経営・管理」の申請では、日本の事業所、会社の登記事項証明書(登記が終わっていなければ定款など)、資本金の額、常勤職員などの資料を出します。そのため、事業所の確保と会社の設立を先に進め、その後に申請するのが基本の順番です。

外国人の方が日本で会社を経営するための在留資格

日本で会社を経営できるかどうかは、いま持っている在留資格で決まります。

「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)の別表第二の在留資格で、活動の制限がありません。これらの在留資格の方は、在留資格を変えずに会社を設立し、経営できます。特別永住者の方も同様です。

「技術・人文知識・国際業務」「留学」「家族滞在」などの別表第一の在留資格の方は、その在留資格の活動に属しない「収入を伴う事業を運営する活動」を、資格外活動許可を受けた範囲を除いて行うことができません(入管法19条1項・2項)。会社を設立して経営に当たる場合は、在留資格「経営・管理」への変更が必要になります。在留資格の全体像は在留資格の種類一覧で説明しています。

在留資格「経営・管理」の活動は「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」です(入管法別表第一の二。弁護士・公認会計士など、法律・会計業務の資格がなければ法律上行うことができない事業の経営・管理は除かれます)。在留期間は5年・3年・1年・6か月・4か月・3か月のいずれかです(出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」。以下、出入国在留管理庁を「入管庁」といいます)。

「高度専門職1号ハ」「高度専門職2号」でも事業の経営ができますが、「経営・管理」の活動を前提とする「高度専門職1号ハ」は、「経営・管理」の許可基準を満たすことが前提とされています。本記事では「経営・管理」を中心に説明します。

会社設立とビザ申請の順番

「経営・管理」の申請には、事業所と会社の資料が要るため、事業計画・事業所・会社設立を先に進めてから申請します。

上陸許可の基準(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令。以下「上陸基準省令」)は、事業所について「申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること」を求め、事業をまだ始めていない場合も「当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」を求めています。事業所は、申請の前に確保しておく必要があります。

入管庁が示す在留資格認定証明書交付申請の提出書類(カテゴリー3・4)には、次のものが含まれます。前年分の法定調書合計表を出していない新設の会社は、カテゴリー1・2に当たらなければカテゴリー4です。

書類内容
事業内容の資料法人の登記事項証明書の写し(登記が完了していないときは、定款その他法人において事業を開始しようとしていることを明らかにする書類の写し)など
事務所用施設の資料不動産登記簿謄本、賃貸借契約書など
事業規模の資料常勤の職員に係る賃金支払に関する文書と住民票など、貸借対照表、登記事項証明書など
事業計画書経営・管理に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書の写し
許認可の資料事業を営むために必要な許認可の取得等をしていることを証する資料
日本語能力・経歴の資料試験の合格証、学位証明書、在職証明書など

この表から、準備の順番はおおむね次のようになります。

  1. 事業計画を立てる: 事業計画書は、経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けたものを出します。入管庁は、施行日(2025年10月16日)の時点で該当するのは中小企業診断士・公認会計士・税理士とし、変わる場合はホームページで知らせるとしています
  2. 事業所を確保する: 自宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません(入管庁「「経営・管理」の許可基準の改正等について」。以下「改正に関するガイドライン」)
  3. 会社を設立する: 資本金の額は、登記事項証明書などで確認されます。数え方は後の「資本金3,000万円の数え方」で説明します
  4. 常勤職員・許認可などを整える: 許認可が「経営・管理」の許可を受けてからでないと取れない場合は、その理由を説明した文書を出します(入管庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」のQ&A 問28。以下「改正のQ&A」)
  5. 在留資格の申請をする: 海外にいる方は在留資格認定証明書交付申請、日本にいる方は在留資格変更許可申請

貸借対照表は、最初の決算期が来ていなくても、設立時または設立後の任意の時点のものを作って出します(改正のQ&A 問6)。

2025年10月16日に施行された改正後の許可基準(資本金等3,000万円以上、常勤職員1人以上、日本語能力、経歴、専門家の確認を受けた事業計画書)と、改正前から在留している方の扱いは、経営管理ビザの改正の記事で詳しく説明しています。

会社を設立する手続

会社は、本店の所在地で設立の登記をすることによって成立します(会社法49条・579条)。外国人の方が設立する場合も、手続の骨組みは日本人と同じです。

株式会社の設立(発起設立)の流れは、法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」にまとめられています。

  1. 発起人が定款を作成する(会社法26条1項)
  2. 公証人の認証を受ける(会社法30条1項)
  3. 出資の全額を、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所に払い込む(会社法34条)
  4. 本店の所在地を管轄する法務局に設立の登記を申請する

株式会社と合同会社

「経営・管理」の資本金等の基準は、株式会社では払込済資本の額(資本金の額)、合同会社では出資の総額で判断されます。どちらの形態でも「経営・管理」の申請はできます。

項目株式会社合同会社
定款の公証人の認証必要(会社法30条1項)認証の手続はない
出資の履行発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所で払い込む(会社法34条2項)定款の作成後、設立の登記をする時までに全額を払い込むか給付する(会社法578条)
機関取締役を1人以上置く。取締役会は定款の定めによって置くことができる(会社法326条)社員が、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する(会社法590条)

株式会社の定款の記載事項(目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額など)は会社法27条に定められています。事業の内容によって許認可が必要な場合は、許認可の申請に合わせて定款の目的の書き方を確かめておくと安心です。

海外に住む方が設立する場合

代表取締役の全員が海外に住んでいても、日本で株式会社の設立の登記を申請できます。日本人であることも必要ありません(法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」。平成27年3月16日民商第29号通知)。

同じページでは、海外に住む方に関わる取扱いとして、次のことが示されています。

  • 払込みの口座: 払込取扱機関には、日本の銀行の国内の本支店のほか、外国銀行の日本の支店、日本の銀行の海外の支店が含まれます。外国法に基づいて設立された現地法人は含まれません
  • 口座の名義人: 払込みを受ける口座の名義人は、発起人か設立時取締役です。設立時取締役の口座を使う場合は、発起人から払込金の受領権限を委任した委任状を添付します
  • 全員が海外に住む場合: 発起人と設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合に限り、それ以外の第三者(法人を含む)の口座も認められます(委任状が必要)
  • 外貨預金の金額で書く場合: 設立時代表取締役が作る「払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面」に、払込みがあった日の為替相場と、その相場で換算した日本円の金額を書きます
  • 署名証明書: 登記の申請書に添付する外国人の方の署名証明書(署名が本人のものであることを本国官憲が証明したもの)は、住んでいる国にある本国官憲(大使館など)が作ったものでも差し支えないとされています。本国官憲のものを取れないやむを得ない事情があれば、住んでいる国の官憲・公証人や日本の公証人が作ったものが認められる場合があります

設立にかかる公的な費用

設立の登記には登録免許税がかかり、株式会社・合同会社とも資本金の額を基に計算されます(最低額があります)。税率と最低額は国税庁「登録免許税の税額表」で確認できます。

株式会社の定款の認証には公証人の手数料がかかり、額は資本金の額に応じて公証人手数料令35条で定められています。手数料と、謄本・収入印紙の扱いは日本公証人連合会「定款認証」にまとめられています。

このほかに、事業所の賃料、司法書士などの専門家の報酬、事業計画書の確認を受ける費用などがかかります。税務・会計の具体的な判断については、税理士等の専門家にご確認ください。

資本金3,000万円の数え方

法人の場合、「経営・管理」の基準の3,000万円は、株式会社の資本金の額か、合同会社の出資の総額です。会社を設立するときの決め方によっては、同じ額を払い込んでも基準に届かないことがあります。

改正のQ&Aは、次のように示しています。

  • 登記事項証明書などで確認する(問5): 法人は、株式会社の資本金の額か、合同会社などの出資の総額を確認します
  • 資本準備金は含まれない(問7): 資本準備金・資本剰余金・利益剰余金は「事業の用に供される財産の総額」に含まれません
  • 給与や事務所の費用と合算できない(問8): 法人は資本金の額または出資の総額で判断するため、従業員の給与や事務所の維持費などを足すことはできません
  • 複数の会社を合算できない(問11): 複数の会社を経営する場合も、いずれか1社の資本金が3,000万円以上である必要があります

株式会社は、払い込まれた額の2分の1を超えない額を資本金に計上せず、資本準備金にすることができます(会社法445条2項・3項)。資本準備金にした部分は3,000万円に数えられないため、定款を作る前に、資本金の額をいくらにするかを決めておく必要があります。

申請するのは誰か(海外にいる方・日本にいる方)

海外にいる方は在留資格認定証明書交付申請を、すでに日本に在留している方は在留資格変更許可申請をします。在留資格認定証明書の申請を提出できる人は、限られています。

在留資格認定証明書交付申請を提出できるのは、次の人です(入管庁「在留資格認定証明書交付申請」)。

  • 申請人本人
  • 法務省令で定める代理人。「経営・管理」では、本人が経営する事業の日本の事業所の職員、または日本に新しく事業所を設ける場合に、その事業所の設置について委託を受けている者(法人の場合はその職員)です(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第四)
  • 地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士・行政書士などの申請取次者。ただし、申請人本人か代理人が日本に滞在している場合に限られます

海外に住む方が日本の協力者なしに準備を進める場合は、事業所の設置を委託できる人がいるかどうかが、申請の進め方に関わります。

上陸基準省令は、申請人が事業の経営を行う時に日本に居住することとしていることも求めています(経営・管理の項3号)。

日本にいる方の変更の手続は、在留資格変更許可申請の記事で、在留資格認定証明書の手続の全体は在留資格認定証明書の記事で説明しています。

申請にかかる期間と手数料

入管庁の審査にかかった日数は、全国の地方出入国在留管理局の平均が、在留資格と手続の種類ごとに毎月在留審査処理期間として公表されています。会社の設立にかかる期間は、海外から書類を取り寄せるかどうか、事業所の契約、公証役場・法務局の手続などによって変わります。

在留資格の変更が許可されたときの手数料は、入管庁の手数料のページで確認できます。

スタートアップビザという選択肢

日本に協力者がいない方は、スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)を使い、在留資格「特定活動」で最長2年間、日本で起業の準備をする方法もあります。

スタートアップビザは、経済産業大臣の認定を受けた自治体または民間事業者から起業準備活動計画の確認を受ける制度です。準備期間のうちに事業所と事業の規模の要件を整え、「経営・管理」に変更します。2025年10月16日以降に確認証明書を受けた方には、「経営・管理」に変わるときに改正後の基準が適用されます(改正に関するガイドライン「施行に伴う留意点」3)。

要件と東京都での流れは、スタートアップビザの記事で説明しています。

設立後の手続

会社を設立した後は、税務署・都道府県・市区町村への届出、社会保険・労働保険の手続などが必要になります。何をいつまでに出すかは、事業の内容や規模によって変わるため、税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

「経営・管理」の在留期間の更新では、労働保険・社会保険の適用状況と、国税・地方税の納付状況が確認されます(改正に関するガイドライン「申請に関する取扱い」5)。設立後の届出や加入の手続は、更新の審査にも関わります。

海外に住む方(外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」)の「外国投資家」)が出資して会社を設立する場合は、外国投資家の国籍・所在国、会社の事業の業種、出資の割合などによって、外為法の事前届出か事後報告が必要になる場合があります。外国投資家が非居住者の場合、届出・報告は居住者である代理人が日本銀行を経由して行います(日本銀行「外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)」)。

当事務所のサポート

当事務所は、会社の設立の前から「経営・管理」の申請まで、在留資格の観点から一貫してお手伝いいたします。

  • 在留資格の確認: いまの在留資格のまま経営できるか、「経営・管理」やスタートアップビザのどれが合うかを整理いたします
  • 設立前の確認: 資本金の額、事業所、事業の目的、常勤職員の予定が「経営・管理」の基準に合うかを、会社を設立する前に確認いたします
  • 事業計画書の作成支援: 中小企業診断士・公認会計士・税理士との連携により、確認を受ける事業計画書の作成をサポートいたします
  • 申請書類の作成と取次ぎ: 在留資格認定証明書の交付申請、在留資格の変更の申請書類を作成し、代表が申請取次行政書士として提出を取り次ぎます(取次ぎができるのは、ご本人か代理人が日本に滞在している場合です)
  • 専門家のご紹介: 設立の登記は司法書士、税務の届出は税理士、社会保険の手続は社会保険労務士の業務です。必要に応じて、各専門家と連携して進めます

会社の設立は、在留資格の基準を踏まえて計画すると、やり直しを避けやすくなります。設立の前の段階でも、まずはお気軽にご相談ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案について法的助言を行うものではありません。

本記事は2026年10月11日時点の法令・公表情報に基づいています。改正や運用の変更があるため、申請の際は最新の情報をご確認ください。

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